●小動物に優しくない日本の法律●

1.ペットショップを野放しにしている「動物愛護法」

「仮にも『命ある生き物』を取り扱う店なのに、あんないい加減なことをしていて許されるのか?!」
 そんなことを思ったことはありませんか?

‥‥はい、悔しいことに、許されているも同然なのです‥‥(T-T)

 平成12年に施行された「動物愛護法」(正式名は「「動物の愛護及び管理に関する法律」)の中に、動物取扱業(つまりペットショップ)についての規定があります。その部分を以下に抜粋し、右に私の「独断コメント(^-^;」をつけてみました。

【動物愛護法 抜粋】

【コメント】

第二節 動物取扱業の規則

(動物取扱業の届出)
第八条 動物(哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するものに限り、畜産農業に係るもの及び試験研究用又は生物学的製剤の製造の用その他政令で定める用途に供するために飼養し、又は保管しているものを除く。以下この節及び次節において同じ。)の飼養又は保管のための施設(以下「飼養施設」という。)を設置して動物取扱業(動物の販売、保管、貸出し、訓練、展示その他政令で定める取扱いを業として行うことをいう。以下同じ。)を営もうとする者は、飼養施設を設置する事務所ごとに、総理府令で定めるところにより、次の事項を都道府県知事(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)にあっては、その長とする。以下この節並びに第十五条第一項及び第二項において同じ。)に届け出なければならない。
 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては代表者の氏名
 二 飼養施設を設置する事務所の名称及び所在地
 三 主として取り扱う動物の種類及び数
 四 飼養施設の構造及び規模
 五 飼養施設の管理の方法
 六 その他総理府令で定める事項
2 前項の規定による届出には、飼養施設の配置図及び付近の見取図その他の総理府令で定める書類を添付しなければならない。

(変更の届出)
第九条 前条第一項の規定による届出をした者(以下「動物取扱業者」という。)は、同項第三号から第六号までに揚げる事項の変更をしようとするときは、総理府令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、その変更が総理府令で定める軽微なものであるときは、この限りでない。
2 動物取扱業者は、前条第一項第一号若しくは第二号に揚げる事項に変更があったとき、又は届出に係る飼養施設の使用を廃止したときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
3 前条第二項の規定は、第一項の規定による届出について準用する。

ペットショップを始めたかったら、ただ「届出」をだせばいい、資格も免許も試験も、何もいらないのです。動物のこと(飼育法や習性等)を何も知らなくても、動物のことを大切に思う気持ちなんてカケラもなくても、「届出」さえ提出すれば誰にでも開業できる‥‥ペットショップの店員が動物のことを知らず、いい加減なことばかり教えて、ただ「買わせよう」と良いことばかり言うのも当然だったのですね。
(承継)
第十条 動物取扱業者について相続又は合併があったときは、相続人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人は、当該動物取扱業者の地位を承継する。
2 前項の規定により動物取扱業者の地位を承継した者は、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
経営者が変わる時も、やはり届出だけで済みます。後継者がどんな人でも構わないようです。
(基準遵守義務)
第十一条 動物取扱業者は、動物の健康及び安全を保持するために飼養施設の構造、その取り扱う動物の管理の方法等に関し総理府令で定める基準を遵守しなければならない。
2 都道府県又は指定都市は、動物の健康及び安全を保持するため、その自然的、社会的条件から判断して必要があると認めるときは、条例で、前項の基準に代えて動物取扱業者が遵守すべき基準を定めることができる。
ペットショップの基準が、実はきちんと定められているのです。この下に掲載しました。
(勧告及び命令)
第十二条 都道府県知事は、動物取扱業者が前条第一項又は第二項の基準を遵守していないと認めるときは、その者に対し、期限を定めて、飼養施設の構造、その取り扱う動物の管理の方法等を改善すべきことを勧告することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その者に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
基準を守っていなくても、「改善勧告」だけなのです‥‥。
(報告及び検査)
第十三条 都道府県知事は、第八条から前条までの規定の施行に必要な限度において、動物取扱業者に対し、飼養施設の状況、その取り扱う動物の管理の方法その他必要な事項に関し報告を求め、又はその職員に、当該動物取扱業者の飼養施設を設置する事業所その他関係のある場所に立ち入り、飼養施設その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
一応、立ち入り検査や報告提出を求めたりすることも、「法律上は」できるそうです。ただし、指示できるのは「都道府県知事」‥‥難しいでしょうね。
(条例による措置)
第十四条 都道府県又は指定都市は、動物の健康及び安全を保持するため、必要があると認めるときは、飼養施設を設置して動物取扱業を営む者(動物取扱業を営もうとする者を含む。)に対して、この節に規定する措置に代えて、動物の飼養及び保管に関し、条例で、特別の規制措置を定めることができる。

次に、内閣府(当時は総理府)で規定された「ペットショップの基準」を掲載します。

「動物取扱業者に係る飼養施設の構造及び動物の管理の方法等に関する基準」

平成十二年六月三十日
内閣総理大臣 森  喜朗

総理府令第七十三号  動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号)第十一条第一項の規定に基づき、動物取扱業者に係る飼養施設 の構造及び動物の管理の方法等に関する基準を次のように定める。

(用語)
第一条  この府令で使用する用語は、動物の愛護及び管理に関する法律(以下「法」という。)で使用する用語の例による。

(飼養施設の構造)
第二条  法第十一条第一項の総理府令で定める飼養施設の構造に関する基準は、次の各号に掲げるとおりとする。
 一  飼養する動物の種類及び習性等に応じた飼養場所を確保するため、次の要件を備えていること。
  イ  個々の動物が、自然な姿勢で立ち上がり、横たわり、羽ばたくなど日常的な動作を容易に行うための十分な広さと空間を有すること。
  ロ  排せつ場、止まり木、水浴び場等の設備を備えていること。
  ハ  過度なストレスがかからないような温度、通風及び明るさが保たれる構造であり、又はそのような状態に保つための 設備を備えていること。
  ニ  屋外又は屋外に面した場所にあっては、日照及び風雨等を遮る設備を備えていること。
  ヒ  疾病にかかり若しくは負傷した動物又は妊娠中若しくは幼齢な動物を育成中の動物を、必要に応じ適切に隔離できる設備を備えていること。
 二  良好な衛生状態を維持するため、次の要件を備えていること。
  イ  床、内壁、天井及び附属設備は、清掃が容易であるなど衛生状態の維持及び管理がしやすい構造であること。
  ロ  衛生的な水を十分供給できる給水設備を備えていること。
  ハ  洗浄及び消毒に必要な器具又は設備を備えていること。
  ニ  飼料等を衛生的な状態で保管するための設備を備えていること。
  ホ  汚物等を一時保管するためのふた付きの容器を備えていること。
 三  飼養する動物の逸走及び事故を防止するため、次の要件を備えていること。
  イ   飼養する動物の種類、習性、運動能力、数等に応じて動物の逸走を防止できる構造及び強度であること。
  ロ  床、内壁、天井及び附属設備は、突起物、穴、くぼみ及び斜面等で飼養する動物が傷害等を受けるおそれがないよう な構造であること。
 四  次に掲げる動物取扱業者に係る飼養施設にあっては、前各号に掲げるもののほか、それぞれ次に掲げる要件を備えてい ること。
  イ  保管業者及び訓練業者にあっては、飼養する動物間での感染症や闘争の発生を防止するため、顧客の動物を個々に収容するための設備を備えていること。
  ロ  展示業者にあっては、飼養する動物の習性及び生理に応じて運動場、水浴び場、砂場、営巣場、休息場等の設備を備えていること。

(動物の管理の方法等)
第三条  法第十一条第一項の総理府令で定める動物の管理の方法等に関する基準は、次の各号に掲げるとおりとする。
 一  動物の種類、習性等に応じた飼養が行われるよう、次に掲げる方法により管理を行うこと。
  イ  飼養する動物の種類、数、発育状況及び健康状態に応じた給餌及び給水を行うこと。
  ロ  異種又は複数の動物を同一飼養施設内で飼養する場合には、飼養する動物の組合せを考慮し、過度な動物間の闘争の発生を避けるようにすること。
  ハ  疾病にかかり若しくは負傷した動物又は妊娠中若しくは幼齢な動物を育成中の動物については、隔離するなど過度なストレスがかからないようにすること。
  ニ  親子共に飼養するなど、幼齢な動物の健全な育成及び社会化に努めること。
 二  飼養する動物の衛生の確保並びに疾病及びけがの予防措置を講じるに当たっては、次に掲げる方法により管理を行うこと。
  イ  新たな動物を飼養施設内に搬入するに当たっては、当該動物が健康であることを確認するまでの間他の動物と接触させないようにすること。
  ロ  飼養する動物の疾病及びけがの予防並びに寄生虫の防除等日常的な健康管理に努めるとともに、動物が疾病にかかり 又は負傷した場合には速やかに必要な処置を行うこと。
  ハ  必要に応じて獣医師による診療及びワクチン接種が行われるようにすること。
  ニ  飼養施設及び設備又は器具の清掃や消毒を定期的に行うとともに、飼養する動物の排せつ物その他の廃棄物を適正に 処理すること。
  ホ  ねずみ及びはえ、蚊等の害虫の侵入を防止するとともに、必要に応じて駆除すること。
  ヘ  動物の死体は速やかに適正に処理すること。
  ト  飼養する動物を輸送する場合には、衛生管理及び事故防止に必要な措置を講ずること。
 三  飼養する動物の逸走及び事故を防止するため、次に掲げる方法により管理を行うこと。
  イ  飼養施設の日常的な管理及び保守点検を行うとともに、定期的に巡回を行い、飼養する動物の数及び状態を確認すること。
  ロ  飼養する動物が逸走した場合の措置をあらかじめ定めておくこと。逸走した場合には、その速やかな捕獲等に努めること。
  ハ  地震、火災等の緊急事態に際して採るべき措置をあらかじめ定めておくこと。緊急事態が発生した場合には、速やかに飼養する動物の安全確保に努めること。
 四  取り扱う動物の適正な飼養及び管理の方法並びに飼養する動物に起因する感染性の疾病に関する知識を習得するとともに、動物を飼養し又は管理する従業員等に対しそれらを習得させるための措置を講ずること。
 五  次に掲げる動物取扱業者にあっては、前各号に掲げるもののほか、それぞれ次に掲げる方法により飼養する動物の管理等を行うこと。
  イ  販売業者にあっては、販売する動物の適正な飼養及び管理の方法並びに当該動物に起因する感染性の疾病に関する情報を購入者に提供すること。
  ロ  販売業者にあっては、幼齢な動物については必要なワクチンの接種後に販売するように努めるとともに、その健康管 理並びに健全な育成及び社会化に関する情報を購入者に提供すること。また、ワクチン接種済みの動物を販売する場合には、獣医師が発行した証明書類を添付すること。
  ハ  販売のために動物を繁殖させる販売業者にあっては、遺伝性疾患が生じるおそれのある動物を繁殖の用に供さないように努めること。
  ニ  貸出し業者にあっては、貸出し先において飼養する動物の健康及び安全の確保がなされるよう、契約等の際において当該動物の取扱い方法等についての情報を提供すること。
  ホ  保管業者及び訓練業者にあっては、飼養する動物を搬出する都度当該飼養施設の清掃及び消毒を行うこと。
  ヘ  展示業者にあっては、飼養する動物の健康を保持するため、観覧者が展示動物にみだりに食物を与えることができないよう必要な措置を講ずること。展示動物に食物を与えることを観覧者に認める場合には、認められた食物以外の食物が与えられることのないようにすること。
  ト  展示業者及び販売業者にあっては、観覧者又は顧客が飼養する動物に接触することを認める場合には、動物に過度なストレスがかからないよう、当該動物への接触方法について指導するとともに、動物に適度な休息を与えること。

 いかにも「法律!」的な文体で読みにくかったとは思いますが、どうでしょう?この基準は、おそろしく素晴らしい内容ですよね。世の中の全ペットショップが、この規定を、完璧にとまでは言いません、8割方でもいいから守ってくれていればいいのですが‥‥。

 日本の「動物愛護法」は、欧米諸国のそれと比べると、まだまだお粗末で問題の多いシロモノですが、それでも、上記の「基準」に本当に店が従ってくれるなら、最低ラインはクリアできるでしょう。
 問題は、店が「基準」を全然無視していること。
 そして、無視している店を、行政が放置していること。
 なぜ放置しているかというと、結局「罰則がないから」
 「改善勧告」「指導」「報告書提出」しか手がないから、担当者もそれ以上のことができないのです。
 改善勧告や指導に従わないペットショップに、「改善しないと罰金100万円だぞ!」「あんた有罪者になるんだぞ!」と言えるなら、担当者も強気でいけるでしょう。でも、言うことを聞かなくても、また「勧告」を出すしかなく、ヘタすると延々とそれの繰り返しなのです。「従わなくても法律違反じゃないし♪」とナメてかかって従わない店、実際に手のない担当者‥‥やりがいのない仕事なのでしょう。


 「動物愛護法」には罰則が必要だと、個人的には思っています。
 日本よりも動物愛護が150年は進んでいると言われるイギリスだって、罰則を以て動物愛護法を遵守させています。それなのに、150年遅れている日本で罰則がないなんて、本気で守らせる気がないと言うしかありません。
 日本の動物愛護法が「欧米諸国に対する言い訳のお飾り」と呼ばれるゆえんです(日本で初めての動物愛護法は、イギリスのエリザベス女王が来日される際に慌てて制定されたものだそうです)。

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